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男の脳裏には‘墜落’の2文字が浮かんでいた。
身体全体を揺らされ、息苦しい程の速度感にいつの間にか男は意識を失っていた。
『ズドーーーーン!!!!』
次に男が目を開けたのは見た事もない様な草木が生い茂る森の中だった。
「何処じゃここは?」
男は一人でうつむせに倒れていた。
立ち上がり、辺りを見渡すと一際背の高い木の向こうに黒煙が立ち上っているのが見えた。
「ワシは生きておったのか?」
そう言って男は黒煙に向かって走った。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
少し走ると見えてきた惨状。
無惨に飛び散った旅客機の残骸、そしてその近くにやはり無惨な姿を曝している人間。
「……なんて事に……誰かぁ~居るか~!」
「…助けて~」
「お~ぃ大丈夫かぁ~」
男の呼びかけに数名の人が答えた。
「今行く!」
男と同じく、無傷な者もいて協力して負傷者を助け出す。
最後と思われる人間を助け出した頃にはすっかり日は暮れていた。
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