《聖域》

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村の者達が去ったのを見送ってダグラスが悪態をついた。 「そう言いなさんな、我々を助けてくれると言ったんじゃ、悪い人間ではなかろうよ。」 「そりゃそうだろうけど…」 言われ見れば確かに村の者達の対応はおかしかった。 こんな状況なのに平気な感じだったし、なんだかやたら村に来る事を進めた。 しかし、天野はそれはそれは村の者の精一杯の自分達に対する気遣いだと思った。 救助が来るのをただ待っていても良かったが、天野は食事と水が心配だったので、ダグラスとほかに元気な者を募って辺りを探索した。 幸い水は近くに小川があり、そこの水が飲めるのが確認出来たし、食物も果物や木の実で食べれる物が有ることが分かった。 しかし重傷者に至っては手の施し様がなく、短い時間に次々息を引き取って行った。 そして、七日目の朝を迎えた。
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