中学二年生

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 新しい制服。真っ黒のセーラー服だ。襟には白いライン、胸元には真っ赤なスカーフを、きゅっと結ぶ。鏡の前で、くるりと回ってみる。ずいっと顔を近付けて、ポニーテールにした黒髪を整える。 「今日子ちゃん、遅れるよぉ」 「はぁーい!」  おばあちゃんの声にはっとして、玄関へと急いだ。きっちり整えられている白のスニーカーを履いて、おばあちゃんに向き直る。 「行ってきます!」 「はい、行ってらっしゃい」  ガラガラと扉を開き、第一歩を踏み締めた。今日から黒崎今日子は、梅ヶ丘中学の二年生なのだ。少し先に見える白い校舎を眺め、古いコンクリートの道を歩いた。  見えるのは、連なる山々と、広がる田畑。静かに流れる川に、点々と建つ古い家。川沿いには桜の木が爛漫と咲き誇っていた。 「おーい!今日子ー!」 「あ、えっと……セージ君!」 「そういえば、転校なんだよな!今日子、何年生?」 「二年生、です」  そう言うとセージ君は驚いた顔をした。 「いっこ下!?」 「えっ!じゃあ、先輩なん……ですね」  危うくぎりぎりのところで敬語を付け足す。彼は綺麗に笑った。
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