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「やっぱり!黒崎が来た!」
「どうして!?もうここにはいないって……!」
「始まっちまう、また、あの暗黒時代が!」
暗黒時代。叫び声が広がっていく。何が、どうして。わけも分からずただ呆然とする。一体何が。
「頼む、頼むから、白井と赤松には会わないでくれ!」
白井と、赤松。男子生徒は必死にあたしに訴える。だが、あたしには何を言っているのか分からない。みんなが必死になってあたしに頼み込んでくる。いくつもの目から、逃げられない。
「待って、何の、話?」
やっと絞り出した声は消え入りそうなくらい微かだったけど、確かに響いた。この四角い教室に。
「知らないのか、伝説を」
「伝説?」
「お前の母親の、サツキの伝説だよ!」
知らない。ゆっくりと首を横に振った。お母さんの、伝説。普段から触れ合いもないお母さんのことなんて、あたしが詳しく知るはずもない。あんなお母さんなんだから。
「最凶女王クロサキサツキ!」
「最凶……女王……?」
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