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これは少し未来の話。とある地方の田舎に伝わる、十三歳の少女の伝説。
始まりは、この伝説より何十年も昔のこと。そこに君臨した少女は、セーラー服をなびかせて、真っ黒な黒髪を結い上げ、舌なめずりをひとつ。たった一人で、最強の賊を創り出したのさ。他の野郎を蹴散らし、女王の座を牛耳った。大人すら彼女を恐れ、誰ひとりその暴君に逆らうことなど出来ず。
「アタシに逆らう奴らを、無傷で帰しちゃいけねぇよ」
下っ端たちはその強さにひどく惹かれた酔狂な奴らばかりでね。全員が彼女の虜。犬なんだ。
美しいかんばせに、幼いくせに魅せる妖艶な笑み。真っ黒な髪に鮮血がそれはよく映える。何よりの特徴は、右腕に刻まれた『凶』の文字。
故に彼女はこう呼ばれたのさ。
―――最凶女王 サツキ
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