8人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
私は、香奈との取引を無視したまま1日を終わらそうとしていた。
もうすぐ、校門を出られる。
「逃げちゃだめー」
香奈の声が後ろから迫ってくる。
まるで恐怖映画。
香奈がトイレに行っている隙を狙って走ってきたのに。
私は、香奈にあっという間に追いつかれた。
自分の運動神経の悪さを恨む。
「そんな簡単に逃げられると思ったら甘いよ」
「勘弁、今回だけは勘弁!」
私は、ハエが顔を洗っているときのポーズを取った。
「枕、返すからさ。ね?」
「いや、私、リラックダ興味ないし」
「じゃ、違うもの。香奈の好きなあの宇宙人のキャラの、買ったげるから交換。どう?」
「惹かれるけどねー、もう遅いよ?」
「どういうこと?」
「翔に直君、呼んでもらってあるから。もうすぐ女の子来るから待っててって」
「は?どこに!?」
香奈は校舎の上を指さしながら
「告白の定番、屋上。そろそろ行かないと、第一印象最悪になるよ?」
そんな。
「香奈のバカ!!」
私はUターンしながら、捨てぜりふを吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!