美咲の章:1.それだけのこと

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次の日。 私は、香奈との取引を無視したまま1日を終わらそうとしていた。 もうすぐ、校門を出られる。 「逃げちゃだめー」 香奈の声が後ろから迫ってくる。 まるで恐怖映画。 香奈がトイレに行っている隙を狙って走ってきたのに。 私は、香奈にあっという間に追いつかれた。 自分の運動神経の悪さを恨む。 「そんな簡単に逃げられると思ったら甘いよ」 「勘弁、今回だけは勘弁!」 私は、ハエが顔を洗っているときのポーズを取った。 「枕、返すからさ。ね?」 「いや、私、リラックダ興味ないし」 「じゃ、違うもの。香奈の好きなあの宇宙人のキャラの、買ったげるから交換。どう?」 「惹かれるけどねー、もう遅いよ?」 「どういうこと?」 「翔に直君、呼んでもらってあるから。もうすぐ女の子来るから待っててって」 「は?どこに!?」 香奈は校舎の上を指さしながら 「告白の定番、屋上。そろそろ行かないと、第一印象最悪になるよ?」 そんな。 「香奈のバカ!!」 私はUターンしながら、捨てぜりふを吐いた。
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