美咲の章:2.恋の咲く場所

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香奈と翔君が去って、一気に空気が静まる。 変に気まずい。 帰りたい。 それをどう言い出すか悩んでると、直君が口を開いた。 「どうする、帰る?」 まさに助け船。 私は頷いて、そうしよっかって言えばいいだけ。 なのに。 「せっかくだし」 私の口から出てきた言葉がこれ。 またやっちゃった。 直君は、私の返事に、ちょっと意外な顔をしながらも 「じゃ、どこ行く?」 「どこでもいいよ」 「まったり、公園とかどう?」 「いいよ」 私は、直君とデートするハメになった。 公園って言っても、この辺は地元じゃないし、デートらしい公園ってことでは 代々木公園しか思いつかず、そこに決定。 渋谷から代々木が近くて良かった。 じゃなかったら、電車に乗ってる間がキツかった。 間が持たないとか、そういう問題じゃないんだもん。 一応、何か言わなきゃいけない気がして 「それ、カメラ?」 と聞いてみたけど、見れば分かる的な質問をしたことに私は恥ずかしくなって 直君の 「うん。暇なときは、いつも持ち歩いてるんだ」 というボールを受け取れず、後は駅に着くまで、二人とも沈黙。 ケータイで遊ぼうにもそれは失礼だし 周りに目を向けてもカップルばっかり。 どのカップルも、腰に手を回したり、目だけで会話してみたりしてる。 香奈と翔君も、今きっと同じ状態。 私は視線を落として、ちらっと直君をうかがったけど、直君もうつむいてるだけだった。
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