美咲の章:2.恋の咲く場所

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女の子って、一度、恋心に繋がるものを見つけたら 後はどんな些細なことでも、それは独立して一人歩きするみたい。 そしてそれは、私の体を乗っ取っていく。 だって私ってば、気付くと直君の側に行こうとしてる。 今までの無礼な態度から、いきなり気軽に話しかけることは、さすがにためらわれたけど 幸いなことに、直君は毎日、写真を持ってきて見せてくれるから 話のきっかけには困らなかった。 花の写真は、もちろんいっぱいあって、次に多いのは動物の写真。 野良猫とか、散歩中の犬とか、番犬とか。 一番少ない写真が人。 みんな笑顔でいい感じ。 直君が好きだから、彼が撮る写真まで素敵に見えただけかも知れないけど どの写真もみんな、私は好きで それなのに、ありきたりの感想しか言えない自分が悔しかった。 「この犬、可愛い」とか、「この花、きれい」とか、「このネコの柄、変」とか。 私は小学生か。 そう思っても、直君と話したいのが先立って、こんなことしか言えなくなる。 それでも直君はいつも嬉しそうに、うんうんって言ってくれて、ますます好きになる。 香奈に 「あんた別人なんじゃないのー?」 って、からかわれても、直君とこうやって過ごす休み時間は、手放したくなかった。 表面的な関係しかできなくて、もどかしくも大切な時間がいくらか過ぎ去ったある日。
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