美咲の章:1.それだけのこと

3/10
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
「なになに~、美咲、また直君眺めてるの~?」 休み時間に話しかけてきたのは、小学校からの親友、香奈。 「うん」 「眺めてるだけで楽しいもんかね?」 「目の保養~」 「またそれか」 香奈が苦笑したのに気付いたけど、気にしない。 「ねー、ちょっとで良いからさ、話しかけてみれば?」 「いいの、幻滅したらヤダもん」 「でも、直君って評判いいよ?」 「そうだね」 「私も何回か話したことあるけど、悪くないよ?」 「何、香奈も直君に興味あるの?翔君というものがありながら?」 翔君というのは、香奈の彼氏。 香奈と翔君は、去年から一緒の部活で仲良くなって 1年の終わりくらいから付き合いだしてるから、まだ数ヶ月しか経ってない。 「違うよ、帰りに待ち合わせしてたの、翔と。そしたら直君と話してたから」 そういえば、直君と翔君は1年の時から同じクラスだった。 「とーにーかーく、直君、優しげだったよ。美咲にぴったりだって」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!