美咲の章:1.それだけのこと

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どうしても食い下がってくる香奈に私は 「男なんてね、周りをダマしていかにモテようとするかしか頭にないの」 自分の頭をつんつんしてジェスチャーする。 「あんたさー」 香奈が、私の机に肘をついて顔をのぞき込んできた。 「17でそんなに悟ってたら、人生つまんないよ?」 「いいの、悟っちゃったもんはしょうがないの」 私が17歳で悟るようになった経緯を知ってる香奈は、やっと黙った。 聞こえるのはため息一つ。 しょうがない、経緯は知っていても私の気持ちなんて分からない。 いくら香奈だって。 恐怖を笑いに変えるのが、どんなに大変かなんて 分からない。 チャイムが鳴って授業開始。 私は、教科書に目を落とした。
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