美咲の章:1.それだけのこと

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それから3日後。 私が帰る支度をしていると香奈が声を掛けてきた。 「ね、久しぶりにゲーセン、寄ってかない?」 確かに久しぶり。 だけど、私は香奈の口ぶりに警戒する。 ウキウキ弾む声。 いくら久しぶりだからって、ゲーセンごときで喜ぶような柄じゃないはず。 それに、その弾んだ声を抑えようとしてるところも怪しい。 「今日は翔君と一緒じゃないの?」 「うん、今日はね。で、どうする?」 「んー、遠慮する」 私が警戒してそう言うのを知ってたのか、香奈はすぐ次の手に出た。 「リラックダの形した枕、UFOキャッチャーで出たんだって」 リラックダ。 今私が集めてる、癒し系のラクダのキャラクター。 「それ、持ってるからいいや」 「ゲーセンオリジナルバージョン、だよ?」 それはまだ持ってない。 心がくすぐられる。 「どうする?行く?行かない?」 「じゃ、見るだけ」 負けた。 私は、香奈がただ親切に言ってくれただけだと信じて彼女についていった。
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