8人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
ゲーセンオリジナルバージョンのリラックダの枕は、私が持っているのより大きかった。
「どう、あれ欲しい?」
UFOキャッチャーのガラスに顔を近づける私に、香奈は企みの笑顔を浮かべてる。
「欲しい。けど、私じゃ取れないよ」
「美咲、これ苦手だもんね」
初めて二人でゲーセンに行ったときから、UFOキャッチャーは香奈任せ。
「取ってあげよか?」
「いい、諦める」
「なんでー?」
「だって香奈、なんか取り引きし掛けてきそうなんだもん」
「あれー、なんで分かったー?」
やっぱり。
分かるよ、それくらい。
私は、香奈の同情を引くように、がっくり肩を落としてゲーセンを出ようとした。
「待って待って」
香奈が私の行く道をふさぐ。
「じゃあ、3回。3回以内に取れなかったら、無条件でそなたに授けよう」
いくら香奈でもさすがにそれは無理でしょ。
そう思って、私は乗った。
最初のコメントを投稿しよう!