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藤森先輩と美世は別れて半年以上経っていた。
俺と美世が付き合いだしたのは、御世が先輩と別れた2ヵ月後。
縁なんてとっくに切れてるはず。
なのに・・・何で先輩から連絡がくるんだ?
そうこうしているうちに着信音は途絶えた。
美世の携帯を静かに机の上に置き直し、俺は独り考えていた。
「ごめんね~、遅くなって。今お昼時で人が多いからトイレが混んでて・・・」
「えっ?あっ、そうなんだ?・・・ってかトイレが混むとかマジめんどくせーよなぁ~」
俺は笑いながら言った。
作った笑顔で。
「そういやぁ、お前の電話鳴ってたぞ?」
俺は着信があったことだけを美世に報告した。
誰から来たか見たってことは言わずに・・・
「そうなの??誰だろ??」
そう言いながら美世は携帯のディスプレイを開いた。
その途端、表情が微かに変化したのを俺は見逃さなかった。
画面を見つめる美世の目に、小さな焦りが感じられた。
「誰からだった??」
俺はわざと知らないフリをしてカフェオレを飲みながら聞いた。
「ん~?美香子からだったぁ~」
そう言いながら美世は笑った。
俺に心の中の焦りを悟られないように・・・。
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