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「……やっぱりさ、オレ音兎と行くよ」
へへ、と笑いながら、キャンスァルは音兎の横に立つ。
「……話し聞いてねぇのかよ? 魔族だけじゃなく、人間とも争う事になりかねないぜ?
それこそ、恩人とかともなぁ」
それを言われるも、キャンスァルは気にせず歩く。
「大事な親友を一人になんて出来ねぇって、それにさ……」
笑いながら、キャンスァルは自分より背の高い音兎を見上げる。
「人間と魔族が共存出来たら、あんな事起こらないだろうし……さ」
「……共存なんざ、出来るかどうかも解りゃしねぇぞ」
「だけど、音兎は信じてんだろ?」
「たりめぇだろ」
当たり前の事の様にそう言う音兎に対し、ならさとキャンスァルは両手を頭の後ろに置きながら、屈託の無い顔で笑いながら言った。
「音兎が信じるなら、オレも信じるよ。
それが友達ってもんじゃん?」
アクルもほっとけないしさ、と言って、頭を掻くキャンスァルを見ながら、音兎は笑う。
「馬鹿だなおめぇは。
…………ありがとよ」
そして、静かにうつ向いた。
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