間章の一『聖女』

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「やー!平和だなアクル!  やっぱこう、のんびり出来るって最高だるぅお!?」  軽く微笑みながら、話し半分に悪流は魔王の話しを聞く。 「でも一人じゃやっぱビミョーじゃね?つーわけで仲間キボンヌ!  ほら、音兎とかキャンスァルとかんとこ戻ろーず?」 「――――。」  締め付けられる様な痛みを感じて悪流は立ち止まる。 「……もう、戻れませんよ」  悪流は小さく呟く。 「ていうか、戻りません。こりごりです。あんなの……」  虚ろな視線を、悪流は空にさ迷わせる。  ああ、空ってあんな色だったっけ?  全てが全て、本当に変わってしまったなと悪流は思う。  あっちにいた頃だって、こんな気持ちになった事無かったのに……なんでだろ?  下手に温もりを知っちゃったからかな?やっぱり。  あたしは愛されちゃいけないんだろう。多分。恐らく。きっと。  世界はあたしを愛してくれてないだろうし。その証拠に、あたしを愛してくれたあの人は……。 「いやはや、近くで見ると壮観だなこの花畑!てらうつくしす!」  少しだけ微笑み、悪流は花畑に視線を向け、あや?と間の抜けた声を漏らした。
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