115人が本棚に入れています
本棚に追加
「やー!平和だなアクル!
やっぱこう、のんびり出来るって最高だるぅお!?」
軽く微笑みながら、話し半分に悪流は魔王の話しを聞く。
「でも一人じゃやっぱビミョーじゃね?つーわけで仲間キボンヌ!
ほら、音兎とかキャンスァルとかんとこ戻ろーず?」
「――――。」
締め付けられる様な痛みを感じて悪流は立ち止まる。
「……もう、戻れませんよ」
悪流は小さく呟く。
「ていうか、戻りません。こりごりです。あんなの……」
虚ろな視線を、悪流は空にさ迷わせる。
ああ、空ってあんな色だったっけ?
全てが全て、本当に変わってしまったなと悪流は思う。
あっちにいた頃だって、こんな気持ちになった事無かったのに……なんでだろ?
下手に温もりを知っちゃったからかな?やっぱり。
あたしは愛されちゃいけないんだろう。多分。恐らく。きっと。
世界はあたしを愛してくれてないだろうし。その証拠に、あたしを愛してくれたあの人は……。
「いやはや、近くで見ると壮観だなこの花畑!てらうつくしす!」
少しだけ微笑み、悪流は花畑に視線を向け、あや?と間の抜けた声を漏らした。
最初のコメントを投稿しよう!