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「アクルちゃん……ですよね? ピスケラから聞いていますよ」
ぼんやりとしていた悪流の眼が、カッと見開かれる。
「十二――聖護士ッ」
数歩後ろに退き下がり、悪流は銀色に輝く大剣を握り締める。
女性の口からピスケラという名が出た。しかもこの独特の雰囲気。少なくとも、十二聖護士かその類だと悪流は判断する。
「あっ……ごめんなさい!驚かせるつもりは無かったの!」
悪流の行動に、少し狼狽したように女性が叫ぶ。
「ただ……その。ピスケラが、貴女の事を気にかけていましたし――何より、とても、とても危なつかしかったから」
「……」
無言で女性を眺める悪流に、やめとけよと魔王がぼやく。
「あれすっげぇパネェ化け物だぜ?戦うのはダメ!絶対!」
「でも……」
悪流は困惑したように視線を反らし、再び女性を見る。
「その……私は貴女と戦う気はありません」
憂いを帯びた瞳で、女性は呟いた。
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