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「あ、ありのまま今起こった事を……」
「解るんですか!?」
思わず声を荒げて、魔王の余計なお喋りを中断する悪流。
「ええ。昔から色々と敏感でして」
悪戯っぽく微笑みながら、ヴァルアは続ける。
「人化している魔族も探知出来ますしね」
「なん……だと?」
よっぽどヘマをやらかさない限り、人化した魔族が即効で見破られた事は聞いた事が無い。
「ゆ、ユーアー、モンスター?」
魔王の言葉に、思わずヴァルアは苦笑を浮かべた。
「あぁ~……そうですね、我ながら、化け物だと思う事もありますよ」
「あっ……」
ヴァルアの少し寂しそうな瞳を見て、悪流は適当に落ちていた木の枝をおもむろに拾い上げて……自分の片方の眼に突き刺した。
「……ッ!アぅッッ!」
枝を引っこ抜き、よろよろと血の流れる片眼を押さえながら、驚いた顔をしているヴァルアを見上げた。
「あ、あたしの方が!化け物……ですっ!」
ぎこちなく、精一杯笑いながら悪流はそう言って再生していく眼を見せた。
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