間章の一『聖女』

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「あ、ありのまま今起こった事を……」 「解るんですか!?」  思わず声を荒げて、魔王の余計なお喋りを中断する悪流。 「ええ。昔から色々と敏感でして」  悪戯っぽく微笑みながら、ヴァルアは続ける。 「人化している魔族も探知出来ますしね」 「なん……だと?」  よっぽどヘマをやらかさない限り、人化した魔族が即効で見破られた事は聞いた事が無い。 「ゆ、ユーアー、モンスター?」  魔王の言葉に、思わずヴァルアは苦笑を浮かべた。 「あぁ~……そうですね、我ながら、化け物だと思う事もありますよ」 「あっ……」  ヴァルアの少し寂しそうな瞳を見て、悪流は適当に落ちていた木の枝をおもむろに拾い上げて……自分の片方の眼に突き刺した。 「……ッ!アぅッッ!」  枝を引っこ抜き、よろよろと血の流れる片眼を押さえながら、驚いた顔をしているヴァルアを見上げた。 「あ、あたしの方が!化け物……ですっ!」  ぎこちなく、精一杯笑いながら悪流はそう言って再生していく眼を見せた。
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