間章の一『聖女』

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 少しの間、ポカンと口を開けたままヴァルアは固まる。 「いきなり目の前で行われる自傷行為にドン引きしてんじゃね?」  そして、事の元凶である、KY大魔王の、この発言である。  確かに、こいつは魔王であった(いろいろと駄目な意味で) 「……ありがとう」  柔らかな微笑みを浮かべながら、ヴァルアは悪流に歩み寄り……その華奢な体を優しく抱き締める。 「……でも、もうそんな真似は、絶対にしないで下さい。」  静かに、戒める様な言葉に……悪流は思わず表情を変える。 「あ……の、ごめんなさい……あたし、その」 「いえ、いいんですよ。貴女の気持ちは、とても嬉しかったですから。  とても、優しい人ですね……貴女は」 「優しく、何かないです。あたしは、ただ……」  そんな様子に耐えきれなくなって来た我らが大魔王は、あー、おほん、と軽く咳払いみたいな声をあげる。 「まぁなんだ、我が悪かった。本当にすまなんだ、ガチでサーセンですたい」  さすがに罪悪感が芽生えたらしい魔王は、そんな謝罪をした。
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