間章の一『聖女』

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「……」  城門の外。森の辺りを歩きながら、ヴァルアは軽く息を吐く。  さて、これからどうしましょうか?  ヴァルアとしては、魔王こと、アクルを匿うつもりでいるのだが……。  ピスケラから聞いていたのと印象が違いますね。  何かあったのだろう。酷く、遠目に見えた彼女は歪んでいた。 「…………」  軽く息を吐き出して、ヴァルアは軽く頭を押さえる。  憎しみ……だろうか?  だとしたら、簡単には言の葉は届かないだろう。  タガの外れた心は簡単には止まらない。間違いと気付いても手遅れで、止まれなくなっている時の方が多いい。 「……あら?」  森の茂みに、一匹の怪我をしたリスを見付けて、ヴァルアはニッコリと微笑み歩み寄る。  手をかざすと、淡い光りがリスを包み、怪我が癒えていく。  すっかり無傷になり、元気に茂みに消えて行くリスを見送った後、ヴァルアは空を見上げる。 「怪我は、癒せるのですが……」
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