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「……」
城門の外。森の辺りを歩きながら、ヴァルアは軽く息を吐く。
さて、これからどうしましょうか?
ヴァルアとしては、魔王こと、アクルを匿うつもりでいるのだが……。
ピスケラから聞いていたのと印象が違いますね。
何かあったのだろう。酷く、遠目に見えた彼女は歪んでいた。
「…………」
軽く息を吐き出して、ヴァルアは軽く頭を押さえる。
憎しみ……だろうか?
だとしたら、簡単には言の葉は届かないだろう。
タガの外れた心は簡単には止まらない。間違いと気付いても手遅れで、止まれなくなっている時の方が多いい。
「……あら?」
森の茂みに、一匹の怪我をしたリスを見付けて、ヴァルアはニッコリと微笑み歩み寄る。
手をかざすと、淡い光りがリスを包み、怪我が癒えていく。
すっかり無傷になり、元気に茂みに消えて行くリスを見送った後、ヴァルアは空を見上げる。
「怪我は、癒せるのですが……」
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