間章の一『聖女』

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 ふぅ、と軽く溜め息を吐きながら、ふと列車の中にいた和装の魔族を思い出す。  列車の中にはもう一人大きな魔力を感じた。雰囲気が若干違っていて解らなかったが、多分アクルだろう。 「……」  ライブルから聞いた話しによると、立ったまま息絶えた、牛の角を生やした和装の魔族が確認されたらしい。 「……辻褄があいますね」  再びヴァルアは溜め息を吐き出す。  どうやって説得しましょうか。  何故か、アクルは魔族にも襲われているらしい。魔王なのに。 「彼女の目的は復讐なのでしょうけど……」  人間か、魔族か。どちらにせよ、あの歳でそんな事はさせたくない。  だからといって、事情を聞こうにも……今の彼女に聞くのは傷口を抉るようなものですし……。 「……偽善者、ですよね?」  空を見上げながら、ヴァルアはぽつんと呟いた。
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