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ふぅ、と軽く溜め息を吐きながら、ふと列車の中にいた和装の魔族を思い出す。
列車の中にはもう一人大きな魔力を感じた。雰囲気が若干違っていて解らなかったが、多分アクルだろう。
「……」
ライブルから聞いた話しによると、立ったまま息絶えた、牛の角を生やした和装の魔族が確認されたらしい。
「……辻褄があいますね」
再びヴァルアは溜め息を吐き出す。
どうやって説得しましょうか。
何故か、アクルは魔族にも襲われているらしい。魔王なのに。
「彼女の目的は復讐なのでしょうけど……」
人間か、魔族か。どちらにせよ、あの歳でそんな事はさせたくない。
だからといって、事情を聞こうにも……今の彼女に聞くのは傷口を抉るようなものですし……。
「……偽善者、ですよね?」
空を見上げながら、ヴァルアはぽつんと呟いた。
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