間章の一『聖女』

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「……あ、え?」  視界が一瞬ぼやけたかと思えば、景色が変わった。 「……どうしたの?」  心配そうに尋ねるアドロメアの表情を見ながら、悪流はさらに怪訝そうに眉を潜めた。  快活そうな顔が、どこか作り物じみたものになっている。  妙に、造形的というか……ややリアルなマネキンの様で。現実味が無くて、気味が悪い。  アドロメアだけでなく、机も。棚も。ありとあらゆる物が妙に現実味がなくなった。  夢の中にもにていて……。 「め、目が、おかしく……?」  そう言って、目を擦った瞬間鋭い痛みが悪流を襲う。 「あっ!いた、痛い!!!」 「ば、馬鹿!」  洗剤が付着した手で目を擦れば、そりゃ痛いだろうとアドロメアは悪流に駆け寄る。 「大丈夫?」 「あ、へいきです。もうひきました」  痛みが引いて目をあけると、ちゃんといつもの景色。
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