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「……あ、え?」
視界が一瞬ぼやけたかと思えば、景色が変わった。
「……どうしたの?」
心配そうに尋ねるアドロメアの表情を見ながら、悪流はさらに怪訝そうに眉を潜めた。
快活そうな顔が、どこか作り物じみたものになっている。
妙に、造形的というか……ややリアルなマネキンの様で。現実味が無くて、気味が悪い。
アドロメアだけでなく、机も。棚も。ありとあらゆる物が妙に現実味がなくなった。
夢の中にもにていて……。
「め、目が、おかしく……?」
そう言って、目を擦った瞬間鋭い痛みが悪流を襲う。
「あっ!いた、痛い!!!」
「ば、馬鹿!」
洗剤が付着した手で目を擦れば、そりゃ痛いだろうとアドロメアは悪流に駆け寄る。
「大丈夫?」
「あ、へいきです。もうひきました」
痛みが引いて目をあけると、ちゃんといつもの景色。
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