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「つーかさ」
「駄目ですよ?」
魔王が何かを言いかけたが、その声に遮られる。
悪流が振り返ると、ヴァルアが少し悲しそうに微笑んでいた。
「その子達だって、ちゃんと生きているんですから……」
「あ……」
気が付くと、周りは今朝の花畑の真ん中。
どうやら自分は、話を踏みにじりながらここまで来たらしい事に気付き、悪流は目を伏せる。
「ご、ごめんなさい……あたし――――」
「大丈夫です。まだ、朽ちてはいませんから」
ヴァルアがニッコリと微笑むと、優しい金色の光りが辺りを包む。
踏みにじられた華々が、徐々に元通りになって行く。
「……外傷なら、いくらでも癒せますから」
悪流から視線をそらして、花畑を眺めながらヴァルアは呟き、再び悪流に視線を向けた。
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