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「その意見にサンセーマンセー!」
アクルの頭に魔王の声が響く。
「ほれ考えてみ?案外、その方がいいかもしれんぜ。闇雲に動くよっかさ」
そんなヴァルアの意図を察してか、魔王がぼやく。
アクルが、復讐何て真似をやめてくれたら万々歳だしな。
「……えへへ」
ふと、黙っていた悪流が笑みとともに口を開ける。
「嫌ですよ」
その瞳を見て、ヴァルアはギョッとした。
とても、先程までと同じ人間だと思えないくらいに暗く、黒く濁っていた。
「無理です。いてもたってもいられませんもん。幸せも、安寧も安らぎなんて物も、もういりません」
悪流の視界がぐにゃぐにゃと蠢く。
立っているのか倒れているのか。感覚もどことなくおぼつかないが、はっきりとしている事がひとつ。
立ち塞がるのなら、それが人であれ殺してしまっても罪悪感なんて沸かないだろうという気持ちだ。
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