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「……?」
擬猿は顔をしかめ、青年を見る。その顔には見覚えがあった。
「まさか――――非羊……?」
ニッコリと青年は微笑みを浮かべる。「ご名答。」
「……貴方が、何故?どうやって?」
いや、と擬猿は苦し紛れながらも無理矢理に笑みを作る。
「殺る気の、ようですなァ……なら、もう一度殺してやろう……。」
非羊はクスクスと笑う。
「ここらは私の本体が近いのでね。生憎、擬猿に勝ち目は無いよ。」
「うっきゃきゃ!この体ですしなァ……だが、座して死を待つのは流儀では無いのでな!」
擬猿は大地を蹴ろうとして……その大地が無い事に気付く。
「なん……だと……?」
「最期に。私はね、ある程度だけど想像したモノを創造出来るのだよ。
それじゃあ、おやすみ。擬猿。」
擬猿は、突然出来た大きな穴の中にそのまま墜ちて行った。
それを眺めて、さてとと非羊は呟く。
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