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「んで、今ピスケラ姉ちゃん達は魔族らの……万龍の城に向かってる。」
「向かってるって……」
アクルがキャンスァルを見上げ、私らは居残り組だと音兎はぼやく。
「キャンは片腕失っちまったし、私は右足悪くしちまってよ……。」
自嘲気味な笑みを浮かべながら、音兎は静かに言う。
「……ま、皆が生き残れるとは限らねーから……もしもの時の為でもあるんだろうな。」
キャンスァルが言って、アクルは体力回復の為に急いで魚を頬張る。
「えっと、走馬さんも行っちゃったんですか?」
「……兄貴の足ならすぐだからな。まだ、ここにいる。」
音兎は静かに言って、アクルを切れ長の赤い眼で真っ直ぐに見据える。
「お前も、行くんだろ? 万龍の奴ンとこによ……。」
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