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「……はい。」
アクルは静かに頷いて、真っ直ぐに音兎の瞳を見詰め返した。
「あたしは、あたしの為に行きます。そして、それがきっと音兎さん達の明日に繋がる事なら……尚更。」
そんなアクルを見て、そうか、と音兎は目を伏せる。
「なら、早く行くしかねーな。兄貴なら、もうスタンバイしてるぜ?」
「うん……ありがとう、音兎さん。」
オウ、と一言……音兎は煙草を取り出し立ち上がるアクルを見て目を細めた。
「……オメーが帰る場所は、ちゃんと私らが守るからよ。帰って来いよ? ぜってーよ。」
アクルは少しだけキョトンとしてから、笑った。
本当に、本当に心の底から笑った。音兎も笑って、キャンスァルも笑っていた。
確かめるように。その場所を忘れないように。
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