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「いきなし不意討ちすんじゃねーよ、ったく……煙草臭かったんじゃねーか?
ま、いいや……なぁ、今夜は一緒に寝ねーか?」
音兎はその頭を、キャンスァルの胸元に乗せた。
「……ワリーな。私ともあろうもんがよ。色々、あったんだよ……いろいろな。
解ってんだ。不安なのは私だけじゃねーって事くらい。だがよ、でもよ……」
珍しくしおらしい姿に、キャンスァルは心臓が高鳴るのを感じる。
「……オメー何て、私に付き合わせちまったばかりに片腕失っちまって、大事な奴と戦わせる事になっちまって……私に、私にオメーの優しさにすがる資格なんか――――。」
「あー、もう! 前口上長いんだよ! 資格だとかなんとかいらねーって!」
キャンスァルは静かに音兎を抱き締めて暗い空を見上げた。
「……オレだって、そりゃ不安だよ。だからさ、互いに互の優しさにすがろうぜ?」
そう言って、キャンスァルは微笑み音兎の背をさすった。そろそろ、日が昇るなぁ。
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