終章

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 今から、全てが終わる――――。  アクルは、息を吸う。冷たい空気が肺に入って行く。  大きく、大きくアクルは深呼吸をする。吸って、吸って、吸って…… 「――――ケホッ、コホッ、ケヘッ。」  ……少し、むせた。  今、全てが終わる。そして、日々は続くのだろう。  アクルは閉じていた目を開く。空は、夜は。明けていた。  きっと終わらない。大切な日々は、明日も明後日もずっとずっと続いて行く。この藍色の空の下で。 「……行きましょう、走馬さん。」 「……オウ。乗りな。」  走馬の背に乗り、アクルはもう一度、もう一度夜明けの空を見上げて目を細めた。  ……今まで出会えた、全ての方々にもう一度出会えたなら……。  アクルは、夜明けの空に手を伸ばす。  ――――――命よ天まで届け。
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