終章

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「解ったよ。なぁに、その子が産まれてお前が折れそうになったら、私が支えるよ。」  母はそう言って、快活に笑う。父親を。旦那を早くに病気で失い、ずっと一人で育ててくれた母の笑顔に励まされて、真愛娘は、頷いた。 「どうせ、私頼りなんだろう?」 「えっ……いや、あはは。そんな事はないよ母さん。」  二人は笑う。母は、力強く笑っていた。  産まれて来る前日、交通事故にあいその命を散らす等、知るはずもなく。 「早く、会いたいよ。ねぇ? 私の可愛い可愛い、愛留(アクル)」 「アクル?」 「うん、愛に留るで愛留よ?いい名前でしょう?」 「……愛で、あくって読むのかい?」 「細かい事はいいじゃないの。私の真愛娘だって、結構な名前だし。いや、気に入ってるんだけどね?」  あはは、と二人は笑っていた。ずっとずっと笑っていた。  その日の日溜まりは……遥か遥か、遠くに……。
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