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「……とりあえず、五区に行きましょうか。あそこは、基本的に法律緩いって言ってましたし」
ふらふらと山道を歩きながら悪流は呟く。
「まぁ、犯罪者みてぇなのも盛りだくさんだし、木を隠すならなんとやらだしな」
魔王の言葉を聞きながら、以前もそういうつもりで五区に行った事をぼんやりと思い出す。それから……あの人に会えたんだ。
「そういえば……十二支が襲撃してきましたよね。喰鼠さん、でしたっけ?」
「ん、まぁ確かそいつだったはずだな。今回も襲って来る可能性があるかもなー」
「……まぁ、丁度いいですよ」
ぼやきながら悪流は夜空に手を伸ばす。
「十二支の方なら返り討ちです。再起不能にして……万龍の居場所を聞き出しましょうかね。隠れてる訳じゃあないですし、わりとすんなり教えてくれるかもしれません」
魔王さんは教えてくれませんし。
「万龍が直々に来たら……今度は、必ず……」
ぎゅっ、と悪流はその手を握り締めた。別に、何かを掴めたわけではなく――――。
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