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「んで、これからどーすんだっけか?」
「とりあえず……五区が一番あたしには安全みたいなんで、また五区に向かいますかね」
そこまで言って、クス、と悪流は泣きそうに笑う。
「牛若さんと会ったのも、五区だったなぁ……」
「――――ッ」
何か言いたいものの、大した事も言えそうに無いので魔王は黙る。
空気を読んだとも言えた。
「……ともかく、ここがどこかもいまいち解らないんですがね」
呟いて、悪流は真っ青な青空を見上げる。
とても綺麗で、大好きだった空。辛い時はいつだって見上げていた。
曇り空でも、雲の動きは見ていて楽しかったし、雨の音も好きだった。
でも、どうしてだろう。
この青空も、あまりにも広く、遠くて届かなくて。不安感が煽られる。
曇り空も、先がこれ以上無いような、嫌な気持ちになるし雨は涙のようで……。
「とりあえず、街道にでようず!」
魔王の元気な声に、悪流は微笑む。
そして再び、歩き出した。
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