間章の二『三区にて』

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「黒髪のみつあみだっけ?」  ジェミニアの言葉に、ああ、とキャンスァルは頷く。  まぁ、ヴァルア先輩によるとみつあみは切ってしまったらしいが。 「……」  ふと、アクルが自分のみつあみをとても気に入っていた事を思い出す。  詳しい事情は知らないが、母親に唯一誉められた、と言っていた時のあの表情。  ……どんな気持ちで、切っちまったんだろうな。 「……」  一瞬、聞き返した時目が泳いだ?  ……泳いだね。ジェミニアは何やら考えるキャンスァルを眺める。 「本当にみつあみ?」  なんとなくまた聞いてみると、キャンスァルは軽く眉をひそめる。 「ああ、少なくとも、オレが見た時はな」  まぁ、嘘じゃあねぇよな? 「何か、報告とかあったか?」 「いや?普通、髪型とか変えるよなーって思って」  キャンスァルは軽く苦笑した。 「思い入れでもあるんじゃねーの?」
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