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「……居場所がねぇってよ。どんなだと思う?」
なんとなく、キャンスァルは尋ねる。別に深い意味は無い。
「……疎まれる事はよくあったけど、人にも魔族にも命を狙われる事になった経験は、流石にないね。魔王といえど、まいってるんじゃないかな?」
だよなぁ、とキャンスァルは苦笑を浮かべる。
アクル……今どうしてんだろうなぁ……。
「……はぁ。」
噂の悪流その人は、五区のすぐ近くの森の中にいた。
魔族の一人や二人くらい出会すと思っていたが……別にそんな事はなかったのだ。
「いいじゃまいか、魔族に会っても仕方なくね?」
「……上手く行けば、万龍の所まで案内して貰えると思ったんですがねぇ……」
やれやれと魔王は思う。まぁ、悪流はなんだかんだで十二支を倒してる訳だし、下手な魔族は近付かないようにしてんだろうな。
「……魔族なら、歓迎なんですけどね」
人間の気配を感じながら、悪流の右手に水が逆巻き刀の形を成した。
盗賊かなんかだろう。
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