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「オウ。調子はどうだい?」
音兎は、人気の無い路地裏にいる男に声をかける。
完全に人に見えるが、人ではなく魔族だ。
「姐さんっすか、どうしやした?」
快活に話しかけてくる魔族の男、異守(いもり)に音兎はオウ、と呟く。
「オメーの事だ。牛若の野郎がくたばったとか、私らが裏切り者になったとかは知ってんだろ?」
「ええ。非羊さんも殺られちまったみたいっすぜ?」
なに?と音兎は眉間に皺を寄せながら煙草をくわえる。
「……そいつぁあ、マジなんだろうな?アン?」
「非羊さんが、頭吹き飛ばされても生きてられるような存在でもねぇ限りは、マジっすね」
「……」
軽く舌打ちしながら、音兎は奥歯を噛む。なんてこった。
「姐さんは、今魔王様探してんでしょう?」
問われて、音兎は頷く。
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