間章の二『三区にて』

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「ああ……まぁんなとこだぜ」  非羊を思い浮かべながら、実感湧かねぇなと音兎は思う。簡単に死ぬタイプには見えないからだ。  喰鼠や……言いたくはないが、牛若や、走馬の兄貴だって早死にしそうな性格ではあるが(私も長くは生きれそうにねぇしな。) 「ウチらの情報網によると、五区の方に向かったのを見たそうですぜ?」 「……ま、隠れやすい場所ではありそうだしな」  音兎はタバコをふかしながら、やれやれだぜとぼやく。五区たって広いしなぁ……。 「ま、仕方ねぇな。オラ、金だ」  情報料を手渡し、音兎は身を翻す。とりあえず行ってみねー事にははじまんねぇだろ。
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