間章の三『カケラ』

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「……」  深い森の中に、彼女はいた。死装束を身に付けた白髪白肌の少女。目隠しをした彼女はまるで亡霊の様に存在感が無い。 「……」  彼女は魔王を監視していた。殺す為にだ。  着実に力を付けている魔王は、早いうちに始末するべきだろうと彼女……邪星十二支、蛇影は考えていた。  ……やるか。そう考える彼女の口からは、蛇のような舌がチロチロと出入りしている。 「……!」  動き出す寸前で、蛇影は止まる。魔王に向けて近付く者がいたからだ。  それも、魔族の気配。 「……」  その白い体は嘘のように景色に溶け込む。本来は闇に浮かび、逆に目立ちそうな体は不思議と闇に馴染んだ。  早まった者か。裏切者か。
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