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嘘……だろ?とか思わぬうちに、異守は腹の辺りに激痛が走る。蹴られたらしい。
「――――ゲガッ!」
木を薙ぎ倒しながら吹き飛び、悶絶しながら開いた眼には、闇に溶ける様な綺麗な黒髪の少女が自分を見下ろす姿が映った。
「……ん」
眠っていたアクルは、何かが近付いて来る気配を感じて目を僅かに開く。
「なんだろ……山賊かな?魔王さん、魔王さんはどう思います?」
尋ねるが返事は無い。ただの熟睡中のようだ。
溜め息混じりにアクルは目を凝らす。相変わらず、森と呼ぶにはどうにもへんてこな景色がその瞳には映った。
最初は慣れなかったけど、いい加減に馴れて来た。むしろ都合がいい事にも気付いた。
動く物がくっきりと解る。それが命に見えないから、罪悪感も湧かない。
「……トカゲ人間?」
何か服を着た二足歩行のトカゲを発見したアクルが呟き、かすかに笑う。
魔族だ。やっと見付けた。
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