間章の三『カケラ』

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 ……――――ッッ! 「――――ゲホッ!ガハッ!」  咳き込みながら、オイオイ嘘だろ?とか異守は思う。いきなり攻撃?つーかいつの間に?てか何でバレた!?自信あったのによ!?  ツカツカと歩いて来る悪流の眼を見てギョッとしてゾッとした。な、何て眼をしてやがる。  ありゃ養豚所にいる豚を見る目だ。可哀想だけど、明日かには店に並ぶのよね、的な。いやそれより冷たいかもしれねぇ。 「ま、待ってくれ……」  絞り出すようなその声を聞いて、悪流はニッコリと笑う。 「万龍ってでかいトカゲいますよね?どこいるか知ってるんでしょう?教えて下さいよ。  知らない訳ないですよね?貴方も魔族ですし。トカゲっぽいですし」  淡々と言ってのける悪流を見上げながら、言葉がちゃんと通じるか異守は不安になった。
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