序章、道なき道の上

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    「……他に何か、ねぇのかよ?」     「一人死んだ。それだけの話しだろう」      他に何があるんだと問うライブルを、ピスケラが無言で睨む。     「私にはまだやるべき仕事が山程残っているのでな。顔だしだけだ」     「仲間が、死んだんだぞ?」      ギリッ、と奥歯を噛みながら、ピスケラは絞り出す様に呟く。      ここは十区の、とある街。     「そうだな。 だからこうしてわざわざ顔を出しに来たのではないか」      何を言っているんだと言わんばかりに、ライブルは溜め息を吐いた。     「感傷に浸る程、暇は無いんでな」      そう行って歩いて行く背中を、ピスケラはしばらく睨んでいた。
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