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「オウ、ご苦労さん」
軽く笑いながら話し掛けて来た従虎に、いえ、と天鵬は軽く首を振る。
「とりあえず、私が知り得る限りの薬草を集めてみましたが……万龍の様子はどうですか?」
「まだ寝たきりだぜ?」
ふわぁ、と従虎はあくびをする。あいつもアレで年だからな。
五十年くらい前。先代魔王……まぁ今アクルの中にいるアレが生きている時代から万龍はすでに十二支筆頭だった。
それどころか、さらにその前の魔王にも遣えていたくらいだ。相当長生きである。
「……今、彼に倒れてしまわれては……」
天鵬は眉間に皺を寄せる。詳しい事情は知らないが、十二聖護士が数人裏切りこちら側についたらしい。
天鵬としては、人間は大嫌いだがそういう連中には思えなかったので意外だ。故に、信用してなどいない。
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