第一章 試練と覚醒

4/7
前へ
/136ページ
次へ
リュウはまっすぐに走りだした。 もはや成人の儀などどうでもよかった。 まだ後ろからは我が子を奪われ、怒り狂っているドラゴンの羽ばたきが聞こえる。 リュウは崖に架かる吊橋を渡り、街に向かおうとした。 ズドォン…!! ドラゴンの放った火球が吊橋を吹き飛ばす。 「そんな…帰れねぇ……。」 リュウはその場で腰が抜け、へたり込んでしまった。 そこから全てがスローモーションに感じた。 口を開け、鋭い牙を剥き出しにし、突っ込んで来るドラゴン。 雷鳴のような轟音が轟き、崩れ落ちるドラゴン。 その後ろから来る黒い炎を纏った男。 「…スイ?」 全てをまるで一年間をかけて見たような気がした。 リュウの視界は狭まり、 やがて… 闇に支配された。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加