*第一章*

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「『アリス事件』って怖いよね」 「『アリス事件』?」 「知らないの?『アリス』っていう名前のしかも女の子だけを誘拐するっていう」 「ああ、海外でよく騒がれている」 「そう、だけど無差別に国籍も関係無く『アリス』は誘拐されるんだって」 「へぇ…」 こんな他愛無い話をする。それが日課。高校生らしい会話。 「あんたも気を付けなさいよ?」 「何で?」 「あんたも名前に『ありす』ってあるじゃない」 「でも私は……」 「大丈夫って訳じゃ無いからね!!」 気を付けてよ、と念を押された。 新谷ありす【しんたにありす】それが私の名前。 地元の高校三年。受験地獄なのだ。 しかし『アリス』事件には全く興味無い。 何故なら自分にそんな事起こるわけ無い、そう思うからだ。 いくら名前に『アリス』があっても誘拐犯だってこんな凡人を誘拐する気にはならないだろう。 だからだ、友人が幾ら心配しても私は唯愛想笑いを浮かべるだけだった。
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