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夕日が川に映る。
それを見ながら
2人で帰った。
あいつは…
雨美(うみ)は
俺の横を歩きながら静かに口を開いた。
「ねぇ。」
「なんだよ。」
「心史(しんじ)だけには伝えておきたくて…。」
まだ付き合ってもない俺達だけど中学から一緒で自然と下の名前で呼び合っていた。
「あたしね…
探偵なの。」
唐突すぎる発言に
俺は戸惑う。
「な…探偵…?」
「黙っててごめんね…あたし…コナン・ドイルが好きで…ホームズが大好きで…」
「お、俺もホームズ好きだ!
でも…でも…っ
ポアロの方が…
好きなんだよ…」
俺は俯く。
気遣うように雨美は優しく俺に言った。
「心史…
やっぱりアガサ・クリスティーのほうが好きだったんだ……
じゃあたしも
好きになるよ。」
「ありがとう…雨美。」
その日は
2人でゆっくり帰った。
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