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「 決めた!
俺に付き纏うストーカーを見つけ出してやる!! 」
俺の意気込みに早速、呆れた顔で見上げる翔が水を差す。
「 えらく唐突だな。
おびき出すって、そんな簡単に行くものじゃないだろ。
つか、もしも弁当を渡したストーカーがこの学校内の男子生徒、はたまた草野だったらどうするんだ? 」
我が高校の体育教師である草野の厚い胸板が頭に浮かぶ。
身震いがした。
「 つか、ストーカーの犯人を見つけたと仮定してその後はどうするんだ?
警察にでも突き出すのか? 」
「 ストレートに止めて欲しいって頼む。
ストーカーしてる人には悪いけどその人の想いには応えられないからさ…… 」
「 ん?
それって他に好きな娘でもいるって事? 」
俺の言葉に翔センサーが反応した。
墓穴を掘っていた事に気付いた時には既に翔は聞く体勢を取っていた。
なんつー素早いヤツだ。
「 ち、違う違う!?
そんなんじゃない!
俺みたいなヤツとは釣り合わないから止めておいた方が良いんだぜーっていう意味だって! 」
翔がじっと見つめる。
読心術でも使えるのだろうか。
視線を外せば、また変な解釈をされそうなのでこちらとしても一歩も引けない。
「 ……はぁ 」
ようやく諦めたのか、翔は視線を落とし、淡々と眼鏡を袖で拭き始めた。
翔は思い出し笑いのような顔をした後、また眼鏡をかけ直す。
「 まぁ何でも良いけど。
とりあえず、大体の目星は付いてる。
この学校の生徒が犯人だって事は間違いない 」
「 ちょっと待てよ。
何でこの学校の生徒がストーカーの犯人だって分かるんだ? 」
「 考えて見てみろよ、部外者であるストーカーがここの学校に入って弁当を渡せると思うか 」
数時間前の記憶を思い出す。
この学校も一応のセキュリティは施されている事は俺も知っていたし、(本当に作動しているのかは分からないが)防犯カメラや学校専属の警備員が学校の見回りをしているのも知っている。
弁当を渡す為だけに危険を犯してまでわざわざ外部から侵入するヤツはいない。
「 確かに……ない、な 」
「 つまり犯人はこの学校の生徒っていう可能性が高い訳だ 」
「 な、なるほど…… 」
思わず感嘆の声が漏れる。
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