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今度の土曜日、新しいタピオカの店行こうよ。渚抜きで♪──
もうすぐ学年が変わる中学2年の3学期、うっかり者のユカちゃんがグループチャットの送信先を間違えたおかげで、あたしは自分がハブられていることに気づいた。
あー、やっぱそうなんだ……
なんとなく、だけど、あたしがいる時だけ空気が違う気はしていた。きっと気のせいだ── そんなあたしの願望じみた推測は、とっても悪い意味で外れていた。
渚抜きで♪──
あたしには友達なんかいなかった── 残酷なその真実は想像していた以上にショックで、あたしはその後1時間以上、ユカちゃんが送信をミスったチャットの画面を身動ぎもせずにぼうっと眺めていた。
あたしが学校に行くモチベーションは、これで完全になくなった。
ああ、これであたしもヒキコモリのお仲間だ。さよなら、割と普通だったあたしの学校生活……
ところが運良く──いや、運悪くというべきか、あたしが学校に行かなくなってから間もなく新型コロナウイルスのせいで学校が全面休校になったため、あたしの不登校はほとんど問題にならなかった。
「今……何時かな?」
部屋の遮光カーテンはいつも閉まっているので、電気をつけないとあたしの部屋は一日中夜みたいに真っ暗だ。
部屋からほとんど出ず、時間の感覚が半ば溶けかけていたあたしは、ベッドサイドの目覚まし時計に手を伸ばした。9時だった。
ちょっと早いな──ま、いっか。
のそのそと布団を這い出したあたしは、部屋にあるパソコンのスイッチを入れる。
あの日からあたしのスマホは電源を切ったままで、長い長い自粛期間を堪能している──
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