渚 ── 2020年

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「アラおはよう。今日は早いのね。」 パソコンのスイッチを入れた後、ゆっくりとした足取りで1階に下りると、キッチンで洗い物をしていたママが、嫌味なのか誉めてるのかイマイチ判断のつかない微妙な挨拶をあたしに投げ掛けてきた。 確かにいつものあたしよりは1時間くらい早い。が、当然といえば当然だが、みんなの朝ごはんは既に終わっている。 いつもならパパはとっくに仕事に出かけている時間だが、コロナの影響で在宅ワークになったらしく、ここ最近は毎日リビングでパソコンとにらめっこしていた。 「自粛期間が終わったら、ちゃんと学校行くのよ?」 あたしの不登校をサボりか何かだと思ってるママは、冷めきったトーストを無言で頬ばるあたしに向かって、全く心に響かない説教を放った。 ママもパパも、あたしのことなんか何も分かってないのだ。
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