Valentine's Day Kiss2

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~SIDE 月満亮~ 第三ホームから帰宅し、食事やシャワーを済ませて寝室へ入った際にピクシーが部屋に用事があると言うので亮はベッドの上に座り、一人意識を日中の第三ホームのバザーや新宿バベルのバザーや店舗に向けていた。 「バレンタインデー…」 Valentine's Dayという日が年に一日あり、これはトウキョウ崩壊前にトウキョウを含む日本で流行していたイベントらしい。 愛の告白をチョコレートに込めて好きな人にプレゼントするというイベントで、崩壊前を知る大先輩DBの環によるとどうやらお菓子の大手メーカーが作り出した販売促進から定着したそうだ。 第三ホームも新宿バベルも何かとイベントで街を盛り上げようとする意識が高く、もちろんこのバレンタインデーも大きくアピールしていた。 チョコレートという食べ物は亮の中でちょっと特別な物になっている、ピクシーと出会った時に分けたのがチョコレートであり、以降二人の好物でもある。 ピクシーと契約してもう随分経つが、プレゼントらしい物はあまりしておらずこのイベントによって、街中に美味しそうなチョコレートも出回っている。そして本日聞いた進化の話。 そんなこんなでもうじきやってくるバレンタインデーにはピクシーに何かプレゼントしたいと思っていた。ピクシーに喜んでもらいたい、自分は大好きなんだよといつも伝えているのだが何か物で表現したい。進化の話を聞いてからはその意識が強くなりバザーを見ながらピクシーに何をプレゼントしようかとただただ考えていた。本当は、邪教が別に運営している悪魔専用品を販売する店でピクシー専用の洋服をと思っていたのだがこれが相当に値の張るもので、素材に悪魔から採取した特殊な物を使用しており注文してから作成するのでオーダーメイドも同然といった商品であった。それもそのはずで、素材は同じ属性・種族から採取して作成し、その出来は素晴らしく防御力・攻撃力などの効果も現状の数倍は出るという話だ。 亮は現在DBとして仕事も大分覚え、収入もかなり増えはしたのだがこの商品を購入するにはかなり資産が足りていなかった。 別の物で何か良いものはないかとこの日探していたのだが、やはり一度これがいいと思ったら他の物へはなかなか意識が向かないもので、ベッドの上でひっそりと嘆息した。
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