-序章-

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「ねぇ、悠。せっかくだからちょっと思い出話しない?」 「思い出話?」 「うん、たまにはいいんじゃない?昔を思い出すっていうのもさー」 「それは構わないが……」  長い話になりそうだな、と悠は食べ終わったどんぶりを片付けると、二人分のコーヒーとクッキーを用意した。ちゃんとお茶菓子を用意しているあたり甘いもの好きの悠らしい。  その間に冬樹はいつの間にか卒業アルバムをひっぱり出して来たようだ。テーブルの上に置いて表紙をめくる。  ふとそこに一枚の写真が挟まっていた。そこには学生時代の悠、冬樹、そして聡史の三人が楽しそうな笑顔で写っている。  懐かしそうに冬樹はその写真を悠に見せた。 「僕たちが悠と出会ったのは高等部の三年だったっけ……」 「あぁ、そうだな」  卒業アルバムをめくりながら、二人は思い出話を始めた。
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