-序章-

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「冬樹、どうしたんだ?」  悠に声を掛けられて冬樹はハッと顔を上げた。 「いや……こうやって悠が食事作ってる姿に見覚えがあるような気がしてさー」  でもどこで見たのか思い出せないんだよね、と冬樹は首を傾げながら箸を手に取る。そして悠と同じように「イタダキマス」と言って小さく頭を下げるとラーメンを食べ始めた。 「食事なんて冬樹がオフの時はいつも作ってるだろ?」 「確かにそうなんだけどね……なんだろ?さっきみたいにラーメン取り上げられそうになったとか……」  うーんと考えながらも冬樹は箸を止めなかった。よほど空腹だったのだろう。あっと言う間に食べ終わると再び両手を合わせて「ゴチソウサマ」と小さく頭を下げた。  それとは対称的に悠はまだ食べている。
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