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「手紙、開けてみるね」
冬樹の言葉に悠は小さく頷いた。悠は食事はゆっくり食べるもの、という信念を持っているのだ。自分が食べ終わるのを待ってもらうのも忍びない。
冬樹は手紙の封を開けると、中から手紙を取り出した。枚数は二枚。あまり長い手紙ではないようだ。
真剣な表情でざっと目を通すと、冬樹はぱっと目を輝かせた。
「来月、帰国するんだって!聡史」
「帰ってくるのか?」
悠の言葉に冬樹はにっこりと頷く。
手紙の差出人は悠と冬樹の親友である西野聡史からだった。冬樹とは聖都学園中等部からの付き合いであり、悠は高等部三年の時のクラスメートである。
聡史は高等部卒業直前に学園のスポンサー企業である綾瀬コーポレーションの推薦で海外留学のため日本を離れた。
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